日が長くなった。
日没の時間が遅くなってきており、夕焼けのグラデーションを見られる時間帯に事務所から家への帰途につく。
山際に沈んでいく陽が周りの空を紅く染めていく。
薄いオレンジ色からどんどん色が濃くなっていき、赤々と変わっていく。それにつられ、空の青色と混ざって、グラデーションをなしていく様子を見るのが最近のお気に入りである。
快晴の日の日没は特に美しい。
しかし、案外と陽が落ちていくのは早く、美しいグラデーションも目を離すとすぐに良い瞬間を見逃してしまう。刹那的だね。
これから夏に向かっていく。夏の夕暮れも格別で、夕焼けを眺めながらコーヒーを飲んだり蕎麦を喰らったりして、ゆったりと時間を過ごすのも贅沢なものである。こういう贅沢はお金には換算できないもの。幸せと心の充足感を感じる瞬間である。
しかし、あれですな、美しい夕焼けのグラデーションが眼の前にあるのに、家路に向かう人たちは、スマートフォンの画面を凝視しながら、首が垂れ下がって歩いている。なんともったいないことか。たまには顔を上げて空を見上げてごらん、と言って廻りたくなってしまう。